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物理の計算ミス防止方法、計算ミスチェック『完全保存版』【ケアレスミスがなくなる】

物理の計算には数学より多くの計算ミスチェック法があり、知っているだけで不注意な方もかなりリスクを軽減させることができます。しかし、学校、塾、予備校によって教えてくれるところと教えてくれないところがあり、情報格差が生じてしまっています。

そこで私はここに私が知っていることをまとめ、公開します。

ある程度すでに知っている方も、一度網羅的に確認しておくことをお勧めします。ルーズリーフにまとめてファイルしておくなどしてもいいと思います。私はそうしていました。

長いので、先に一度まとめを示しておきます

まとめ

①単位確認

②極限をとる

③定性的に考える

④別解を考える

⑤概算する

①単位確認

物理の正しい式の両辺の単位は必ず一致しています

例えば、時間tを求めた結果、

v=\sqrt{\frac{m^2gl(x+l)}{(M+m)Mx}}

という複雑な式になってうろたえるかもしれません

ですが、右辺の単位は時間の単位と同じになっているので、見かけよりかなり自信を持てます (分母分子のkg^2はキャンセルされて、mもキャンセルされv=sqrt{gl}と同じ単位になるから、m/sの単位になる)

逆に

v=\sqrt{\frac{m^2l(x+l)}{(M+m)Mx}} (gが抜けている)

となった時は、単位がおかしいので、ミスが見逃されることはありません

しかも、途中式一本一本についても単位を確認すれば、どこで単位が合わなくなったのかわかり、どこで計算ミスしたかまでわかるという素晴らしい方法なのです。なので、ミスが発見されても慌てることなく淡々と修正すればいいのであります。

ちなみに指数関数、三角関数は無単位(無次元量)です。

例えば

v=\sqrt{\frac{m^2gl(x+l)sinθ}{(M+m)Mx}}

は、sinがくっついていますが、単位に影響を与えません

e^a

 のような指数関数も無次元量です

さらに、三角関数、指数関数の中身も無次元量です

例えば

cos\omega t  という式がでてきたら \omega t は無次元量 角度の単位ラジアンは無次元量として扱います

e^{\frac{t}{τ}} という式が出てきたら \frac{t}{τ}  は無次元量

です

 

②極限をとる

求めた式の文字の一つを無限にしてみてください(無限の極限をとる)

例えば

斜方投射の水平到達距離xを計算して以下のように求まったとします

x=\frac{v^2sin2θ}{g}

vは投げる初速、θは角度 gは重力加速度です

f:id:vasewell:20200219214917j:plain

このような状況です

この時、vを無限に大きくする場合を考えてみましょう

常識的に考えて、xも無限に大きくなりそうですよね

実際式もそうなっています

gを無限に大きくしたら?重力がめっちゃ大きくなるから全然飛ばなくなって、xゼロになるはずだー→実際式を見るとそうなってますね そうすると

x=\frac{v^2sin2θ}{g}

の式は多分計算ミスしてなさそうだ、と思えます

③代入する

x=\frac{v^2sin2θ}{g}

についてもっとチェックしてみましょう

v=0 の場合や

g=0 の場合や

θ=0 の場合や

θ=\frac{pi}{2}

の場合を考えてみてください

v=0 の時投げないってことだから飛ばないからx=0のはずだなー

g=0 の時重力がないから無限に飛ぶんじゃないかなー

θ=0 の時地面と水平に投げるから投げた瞬間地面に落ちてる→x=0のはず

θ=\frac{pi}{2}の時真上に投げるから横には全然進まなくてx=0になるはずだろ

という風に考えると、式が確かに直感と一致していることを確かめられると思います

ここまでくると、式が正しい可能性がかなり高い

v=0 や

g=0 や

θ=0 や

θ=\frac{pi}{2} (直角)の場合など

0や無限、直角など、極端なケース、特別なケースについて代入してみると確認できる

③定性的に考える

x=\frac{v^2sin2θ}{g}

についてさらにチェックできます

vがだんだん大きくなると、どうなるか?

θが0からπまで大きくなるとどうなるか?

gがゼロからだんだん大きくなるとどうなるか?

と考えてください

vがだんだん大きくなると、どうなるか? →xが大きくなるはずだ→確かに式はそうなっている

θが0からπ/2まで大きくなるとどうなるか?→途中までxは大きくなるけど、いい感じの角度で一番遠くまで飛ぶよな、それ以上角度を高くすると前に飛ばなくなるよな→確かにそうなってる

gがゼロからだんだん大きくなるとどうなるか?→xはだんだん小さくなるはずだ→確かにそうなっている

と確認できます

このように定性的に、大小関係を見ることで、さらに精密な計算チェックが行えます

④別解を考える

全く別の計算法で同じ答えが出たら、その答えは正しい確率が非常に高いことになります

例えば運動方程式を解くやり方と、エネルギー保存を使うやり方の2通りで計算するなど

この方法は、時間的に余裕のあるタイプの試験で非常に効果的です

⑤概算する

数値計算を要求されることがあります

例えば、

\frac{4.121*10^8*3.01}{2.11*10^2}

という計算をする時

\frac{4*10^8*3}{2*10^2}

と近似して、だいたい6*10^6ぐらいになることを確認するという方法があります

まとめ

①単位確認

②極限をとる

③定性的に考える

④別解を考える

⑤概算する

以上の方法はステマチックにミスを発見できるので、単なる見直しという、何をしているのか曖昧な確認法とは雲泥の差と言えるでしょう

 

数学の計算ミス防止法もぜひご覧ください

vasewell.hatenablog.com

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