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ガリレイの相対性原理とは?【慣性系はすべて対等】【力学】

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ガリレイの相対性原理とは、ニュートン運動方程式がどんな慣性系においても成り立つという原理である*1

 

このガリレイの相対性原理から、以下の定理が成立する

異なる慣性系からみても、物体の受ける力は同じである

証明

質量mの物体を考える

慣性系1において物体の速度ベクトルを\vec{v_1(t)}、慣性系2の速度を慣性系1からみて\vec{V}とすると慣性系2において物体の速度は

\vec{v_2(t)}=\vec{v_1(t)}-\vec{V}

慣性系1において物体が受ける力を\vec{F_1(t)}、慣性系2においては\vec{F_2(t)}とすると、ガリレイの相対性原理より、それぞれの慣性系において運動方程式が成り立ち、

\vec{F_1(t)}=m\frac{d\vec{v_1(t)}}{dt}

\vec{F_2(t)}=m\frac{d\vec{v_2(t)}}{dt}

これらと\vec{v_2(t)}=\vec{v_1(t)}-\vec{V}より\vec{F_2(t)}=m\frac{d\vec{v_2(t)}}{dt}=m\frac{d(\vec{\vec{v_1(t)}-\vec{V}})}{dt}=m\frac{d\vec{v_1(t)}}{dt}=\vec{F_1(t)}

であるから確かに

\vec{F_1(t)}=\vec{F_2(t)}

証明終了

 

だがちょっと待って欲しい

電磁気の分野を考えると、ローレンツ力は速度に依存する

\vec{F}=q(\vec{E}+\vec{v}×\vec{B})

ということは異なる慣性系では異なる力が生じるのではないか?*2

ということは、ガリレイの相対性原理は間違っていたことになるのだろうか?

これについては

vasewell.hatenablog.com

を参照して欲しい

 

だが、一つ言っておきたいのは、とりあえず高校の力学の分野ではこれは成り立つということだ

重力、弾性力、張力、垂直抗力、摩擦力など、確かに力は慣性系によらないことがわかるだろう

*1:高校物理ではこの理解で良い。だが、本当は慣性系の変換にはガリレイ変換とローレンツ変換の二種類ある。ここではガリレイ変換に対して運動方程式が不変(共変)であると言わなければならないが、高校物理では気にする必要がない。ガリレイ変換は高校生がよく知っている慣性系の変換方法だからだ。

*2:

実はこの話はあのアインシュタイン相対性理論につながる