大学入試徹底攻略

東大生が幅広く高校物理、高校数学の解説をします

メニューページへ

ローレンツ力とエネルギー保存則【電磁気】

←電磁気のメニュー

電磁気学においてエネルギー保存の法則を適用することはできるでしょうか?

 

これは、実際難しい問題です

 

まず、ローレンツ力は一般には保存力ではありません 

例えばファラデーの電磁誘導の法則により以下のようなループ電場が生じます

f:id:vasewell:20210221161311p:plain

このループに沿って電荷を動かすと、明らかに元の場所に戻ってきたときに仕事がされています。

ゆえに保存力ではない。

もちろん、時間変化しない電場のみが存在する時は、確かに電位Vというものが定義できて、電荷qの位置エネルギーはqVです。しかし、電磁場が時間する場合は上述のようにそうはいかない。

これはどういうことか?

 

実は、ローレンツ力だけが物体に働いている場合、電磁場のエネルギーというのが存在して、それと物体の運動エネルギーの合計が保存するのです。つまり、明らかに高校物理の範囲外なのです。ですが、高校物理においても電磁気でエネルギーの収支を捉えることは大事なので、いくつかポイントを挙げます。

  • 静電場の場合は電位が定義できて位置エネルギーが定義できる
  • 静電場でない場合は電磁場のエネルギーというのが存在して、それと物体の運動エネルギーの合計が保存する(外からのエネルギーの出入りがない場合)
  • 電磁場のエネルギー密度はu=\frac{ε_0}{2}E^2+\frac{1}{2μ_0}B^2
  • コンデンサーの静電エネルギーはコンデンサー内の電場のエネルギーである
  • コイルに蓄えられるエネルギーとはコイル内の磁場のエネルギーである
  • 磁場は仕事をしない

これらはそれぞれ別個の記事で解説したいと思います。