ローレンツ力とエネルギー保存則【電磁気】
電磁気学においてエネルギー保存の法則を適用することはできるでしょうか?
これは、実際難しい問題です
まず、ローレンツ力は一般には保存力ではありません
例えばファラデーの電磁誘導の法則により以下のようなループ電場が生じます
このループに沿って電荷を動かすと、明らかに元の場所に戻ってきたときに仕事がされています。
ゆえに保存力ではない。
もちろん、時間変化しない電場のみが存在する時は、確かに電位Vというものが定義できて、電荷qの位置エネルギーはqVです。しかし、電磁場が時間する場合は上述のようにそうはいかない。
これはどういうことか?
実は、ローレンツ力だけが物体に働いている場合、電磁場のエネルギーというのが存在して、それと物体の運動エネルギーの合計が保存するのです。つまり、明らかに高校物理の範囲外なのです。ですが、高校物理においても電磁気でエネルギーの収支を捉えることは大事なので、いくつかポイントを挙げます。
- 静電場の場合は電位が定義できて位置エネルギーが定義できる
- 静電場でない場合は電磁場のエネルギーというのが存在して、それと物体の運動エネルギーの合計が保存する(外からのエネルギーの出入りがない場合)
- 電磁場のエネルギー密度は
- コンデンサーの静電エネルギーはコンデンサー内の電場のエネルギーである
- コイルに蓄えられるエネルギーとはコイル内の磁場のエネルギーである
- 磁場は仕事をしない
これらはそれぞれ別個の記事で解説したいと思います。