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抵抗の「定義」とオームの法則の「導出」【電磁気】

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オームの法則をより原理的な面から理解しましょう

確かに、「電流Iが流れたら抵抗Rは電圧降下V=RI」は正しいのですが、これも起電力の場合と同様、電位差は結果にすぎないのです

本当は、エネルギーを奪うのが抵抗の性質なのです。そしてそれを打ち消す電場が生じるから、電圧降下が結果的に生じます

定義

抵抗Rは電流Iが流れると、電子にP=-RI^2の仕事率を与える装置である。つまり電子から単位時間あたりP=RI^2のエネルギーを奪う装置である。奪ったエネルギーはジュール熱などの形で、回路外部に排出される。

オームの法則

抵抗Rに電流Iが流れると、電位差はV=-RI生じる*1

証明

仮定2より、P=-RI^2の仕事率を打ち消すためには、打ち消し電場が正の仕事をする必要がある。具体的には微小時間dtの間にRI^2dtの仕事をすれば良い。この間に移動する電荷Idtだから、電位差VRI^2dt=-VdQ=-VIdt、つまりV=-RIであれば良い

まとめ

抵抗とは、本質的には電流に負の仕事をする装置であり、電位はそれを打ち消す電場の発生の結果生じる。結局、よく馴染みのV=-RIの式が得られる。

 

*1:ここでは、電流の正の向きで電位差も測定する。負の符号がついているので、電流がいずれの向きでも電流の流れる方向に進むと電位は下がることを表現している。