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電子の粒子性と波動性【原子物理】

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電子は点粒子と波の二重の性質があります。この二重性がなぜ成り立つのかということについては、大学以降で学ぶことになります。高校物理で学ぶ電子の粒子性と波動性の性質をまとめました。

電子の粒子性

電子の点粒子としての性質

  • 電子は質量m=9.1*10^{-31}kgを持ち、力学の法則に従う
  • 電子は負の電荷量-eを持つ。eは電気素量。
  • 電子は電磁気学の法則に従う。例えば電磁場からローレンツ\vec{F}=q(\vec{E}+\vec{v}\times\vec{B})を受ける。ここで電荷qはq=-eである。また、電子の電荷は電場を作り、電子の運動は電流を作り、電流は磁場を作る。

これは、電磁気の分野で学んだ通りの性質です。

次に、電子の波動性を確認します。

電子の波動性

  • 運動量pの電子は波長\lambda=\frac{h}{p}の波である。hはプランク定数
  • 運動エネルギーEの電子は振動数\nu=\frac{E}{h}の波である。

振動数と波長の積は\nu\lambda=\frac{E}{p}=\frac{\frac{1}{2}mv^2}{mv}=\frac{1}{2}vとなり、vと一致しません。これはv=f\lambdaの公式と一致しないように見えます。ですが、これは粒子の速度vが群速度と呼ばれる速度であり、波動分野で登場する位相速度ではないということが原因です。

群速度と位相速度の違いは高校物理で扱わないので、混乱の元になります。だから②は教科書に載っていないのですね。ですが誘導付きで出題されるので頭の隅に置いておくと良いかもしれません。入試の場で混乱しないように、電子の振動数とエネルギーの関係には微妙な問題があると覚えておくと良いでしょう。