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光子の粒子性と波動性【原子物理】

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光子には点粒子と波の二重の性質があります。この二重性がなぜ成り立つのかということについては、大学以降で学ぶことになります。高校物理で学ぶ光子の粒子性と波動性の性質をまとめました。

光子の粒子性

光子の点粒子としての性質のまとめです。

  • 光子は粒子だが、質量は0である。
  • 光子の速さはcで一定である(速さ=速度の大きさ)。
  • 光子は運動量pとエネルギーEをもち、E=pcという関係にある。

①について

光子は質量が0で速さはcなのに、p=mv=0*c=0ではないということを抑えておきましょう。これはニュートン力学が破綻していることを意味します。アインシュタイン相対性理論によって説明さるので、高校の段階では覚えておくしかありません。試験場でこのことに気づいてしまって混乱しないように、ニュートン力学と矛盾する部分があるということだけ知っておきましょう。

 

②について

これも、運動エネルギーの公式E=\frac{1}{2}mv^2に代入すると、m=0なのでE=0になってしまうのですが、これは成り立ちません。ニュートン力学が破綻しているからです。

 

①、②の通り、ニュートン力学が破綻しているので、エネルギーと運動量がどう定義されるかがわからなくなります。それは次の節で見る、光子の波動性から定義されます。

 

③は光子の波動性から導けるので、直接教科書に書いていない場合が多いですが、覚えやすいですし、本質的には粒子性の性質なので、覚えておきましょう。これを覚えていると波動性の公式の確かめになります。

光子の波動性

  • 運動量pの光子は波長\lambda=\frac{h}{p}の波である。hはプランク定数
  • 運動エネルギーEの光子は振動数\nu=\frac{E}{h}の波である。

振動数と波長の積は\nu\lambda=\frac{E}{p}=cとなり、光子の速度と一致します。これは波動分野で習った公式と辻褄が合います。

エネルギー運動量保存則

ニュートン力学に従わない光子ですが、電子などとの相互作用においてエネルギーと運動量は保存します。つまり、光子と電子などの相互作用の前後で、エネルギーの合計と運動量の合計はそれぞれどちらも等しくなるのです。