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一次元上を等速度運動する受信者と送信者のドップラー効果の公式【波動】【物理】

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一次元上を等速度運動する受信者と送信者のドップラー効果の公式を証明します。

一次元上を等速度運動する受信者と送信者のドップラー効果の公式

一次元上(x軸上)を。送信者と受信者がそれぞれ速度v_S,v_Rで等速度運動している。

送信者は速さVの波を送信している。

受信者が観測する周波数と送信者が送信する波の周波数をそれぞれf_{受信},f_{送信}とする。送信周波数が時間変化しない場合を考える。

(i)受信者がx軸負の方向からの波を受け取る場合

f_{受信}=f_{送信}\frac{V-v_R}{V-v_S}

(ii)受信者がx軸正の方向からの波を受け取る場合

f_{受信}=f_{送信}\frac{V+v_R}{V+v_S}

 

証明

等速度運動する送信者と受信者の座標S(t),R(t)はそれぞれ

S(t)=S(0)+v_St

R(t)=R(0)+v_Rt

と書くことができる。

(i)受信者がx軸負の方向からの波を受け取る場合

x軸正の方向を進む波を考えれば良い。

ゆえに送信者が時刻tで送信した波の座標W_t(t')は、

速度がVであり、時刻t'=tの時送信者S(t)と同じ位置にいるから

W_t(t')=V(t'-t)+S(t)=V(t'-t)+S(0)+v_St

従ってこれが受信者に届く時刻t_R

R(t_R)=W_t(t_R)

t_R=\frac{(v_S-V)t+S(0)-R(0)}{v_R-V}

よって

t_R'(t)=\frac{V-v_S}{V-v_R}

これをドップラー効果の一般公式

f_{受信}(t_R(t))=\frac{f_{送信}(t)}{t_R'(t)}

に代入すると

f_{受信}(t_R(t))=f_{送信}(t)\frac{V-v_R}{V-v_S}

を得る。送信周波数が時間依存しなければ受信周波数も時間依存しないから、その場合は

f_{受信}=f_{送信}\frac{V-v_R}{V-v_S}

(ii)受信者がx軸正の方向からの波を受け取る場合

x軸負の方向を進む波を考えれば良い。

ゆえに送信者が時刻tで送信した波の座標W_t(t')は、

速度が-Vであり、時刻t'=tの時送信者S(t)と同じ位置にいるから

W_t(t')=-V(t’-t)+S(t)=V(t'-t)+S(0)+v_St

これは(i)の場合のVを-Vに変えるだけだから、

f_{受信}(t_R(t))=f_{送信}(t)\frac{-V-v_R}{-V-v_S}=f_{送信}(t)\frac{V+v_R}{V+v_S}

を得る。送信周波数が時間依存しない場合は、

f_{受信}=f_{送信}\frac{V+v_R}{V+v_S}

 

送信周波数が時間変化する場合もこの証明過程を見ていただければ関数tR(t)がわかるので、計算できると思います。