【波動】波の性質まとめ【干渉】【うなり】【回折】【屈折】【反射】
要約と目次
波の一般的性質をまとめました
波の定義
波の定義をまず確かめておきましょう
こちらの記事を確認してください
干渉
干渉とは、異なる場所から来た波同士が同じ場所に到達して、影響を及ぼし合うことです
この動画のように、異なる二点からやってきた波が重なり合って新しい波を形成しています
これが干渉です
干渉縞やうなりといった現象がその例です
干渉縞
二つの波が干渉して影響しあうことで、ある場所では波が強めあい、ある場所では波が弱め合う、ということが起こりえます
その時の、強め合いの場所と弱め合いの場所の模様を、干渉縞といいます
うなり
二つの波が干渉して影響しあうことで、ある時点では波が強めあい、ある時点では波が弱め合う、ということが起こりえます
このような場合、波の振幅が時間によって変化します
これを、うなりといいます
とくに、波の強さが周期的に変化する場合をうなりといいます
干渉はなぜ起こるのか?
干渉が起こる理由は、波という現象がどういう現象かを理解すればわかると思います
波は、周囲に影響されて変化します
ですから当然、異なる方向から同時に影響されることもあるわけです
したがって、異なる点から訪れた波に同時に影響を受けることがあり、このとき干渉現象が発生します
回折
回折とは?
回折とは、波が障害物を避けて回り込む現象のことを言います
日常生活の例
例えば、音を考えてみてください
以下の図のような状況を思い浮かべましょう
ラジオと人との間に壁が存在し、音がまっすぐしか進めないのなら、ラジオからの音が人に届くことはありません
でも、実際は、音量を大きくすれば、こういう状況でもラジオからの音を聞くことができますよね?
これを説明するのが、「回折」という現象です
音の波は、回折という現象によって、障害物を回りこむことができるからです
回折現象はなぜ起きるか
これも、波の定義から考えてみれば当然です
波は直進もできますが、迂回するルートだって取れるからです
このような図で考えてみると、回折とは
点A→B→C→D→E→F
のように順番に影響が伝播していっているというだけの話だったのです
また、Wi-Fiやテレビ、ラジオ、インターネットに使われる電波などはまさにこの回折という現象を利用した技術です
電波は身の回りの様々な障害物を迂回することでできるだけ多くの場所に届くようになっています
回折現象が起こらない場合
ところが、回折が事実上ほとんど起こらない場合があります
それは、障害物のスケールに比べて波長が短い場合です
以下の単スリットの場合で定量的な考察ができます
この考察をみてもわかる通り、回折が起こらない理由は、干渉によって回折する方向の波が打ち消しあってしまうからです
その例は、光(可視光)です
光は波の一種ですが、障害物を回り込むことがありませんよね
例えばこの場合、ラジオの音は聞こえますが、みることはできません
これは、可視光の波長が数百ナノメートルと、日常生活のスケールに比べて非常に短いからです
屈折
屈折とは
屈折とは、教科書的には、「媒質中を伝わる波が、異なる媒質と接する境界面に向かって斜めに入射すると、波が境界面を通過する時、その進行方向を変える」現象であると定義されます
しかし、この定義は若干難ありであります
その理由は後ほど説明しますが、より一般的な定義として次のようなものが好ましいでしょう
屈折とは、波が、異なる「環境」と接する境界面に向かって斜めに入射すると、波が境界面を通過する時、その進行方向を変える現象のことである
「媒質」を「環境」に置き換えただけです
「環境」とは、波の伝播の仕方に影響する周囲の環境のことを指すと思ってください
修正した理由は、「媒質」という言葉はそれより狭い意味になってしまい、屈折という言葉の範囲が狭まってしまうからです
日常生活における例
ガラスによる光の屈折
空気とガラスという、異なる「環境」の境界で、光の波が屈折されることにより、屈折が起こります
水と空気の境界における屈折
水と空気の境界でも、ガラスと空気の境界と同じように屈折が起こります
虹
虹も、光の屈折による現象です
空気中の水滴によって太陽光が屈折されたとき、屈折の度合いが色によって違うので、色が分かれて、虹ができるのです
蜃気楼
蜃気楼も、光の屈折による現象です
空気の温度の違いによって波の進む「環境」が変わり、上空で光が屈折されることによって、存在しないはずの方向に物体が見えるのが蜃気楼の現象です
屈折現象はなぜ生じるか
屈折の原因は、波の速度の違いによるものです
領域ごとに波の速度に影響するような環境の違いが存在する時、その境界面で屈折が起こります
では、なぜ波の速度の違いが、屈折を引き起こすのでしょうか?
それには様々な理由が考えられ、フェルマーの原理やホイヘンス・フレネルの原理などによって説明できます
ですが、定性的に説明することは難しいので、重ね合わせの原理が成り立つ正弦波の平面波の場合に限って説明します
詳しくは、以下の記事で
【準備中】
反射
反射とは
反射とは、屈折の場合と同様に、波が、異なる「環境」と接する境界面に向かって入射するときに生じる現象で、波が境界面を通過するとき、その侵入する波とは別の新たな波が生じて、その「反射波」が、境界面に跳ね返されるような向きで進むような現象をいいます
日常生活における例
鏡は、光の波を反射する性質によってその役割を果たしています
水面に風景が反射するのも、水面が光の波を反射するからです
反射はなぜ生じるか
反射も、屈折と同様に、領域ごとの波の速度の違いによって生じます
ですが、やはりこれも定性的に説明することは難しいので、重ね合わせの原理が成り立つ正弦波の平面波の場合に限って説明します
詳しくは、以下の記事で
【準備中】
屈折と反射
屈折と反射はいつでも起きるわけではありません
片方だけしか起こらないことも、両方起こることもあります
例えば以下の動画のように、反射しかしない場合があります
波のエネルギーと運動量、強度
波は、多くの場合、物質のようにエネルギーや運動量を持っていて、それを運ぶ働きがあります。そこで、波が単位時間に波の進行方向に垂直な単位面積を通過するエネルギーを波の強さ(強度)といいます。
では、具体的にどの程度のエネルギーや運動量をもっていて、強度がどれくらいなのでしょうか?
一般に、波の強さは振幅の二乗と振動数の二乗に比例することが多いです
ですが、絶対にそうというわけではないので注意しましょう
まとめ
波には干渉、回折、屈折、反射といった性質がある
また、通常の物質と同様、運動量やエネルギーを持っており、それを運ぶ働きがある