大学入試徹底攻略

東大生が幅広く高校物理、高校数学の解説をします

メニューページへ

熱エネルギーと熱力学第一法則【エネルギー保存則】【永久機関】

←熱力学のメニュー

熱エネルギーとは何か

力学では、力学的エネルギー保存則を重要な法則の一つとして学びました。

そこで、運動量保存則と同じように、エネルギーも保存する量なのではないかという考え方が生まれます。

ところが、力学的エネルギー保存則は、保存力が働く場合のみ成り立つのでした。

そのため、摩擦力などの保存力ではない力が働く場合は、エネルギー保存則が成立していないかに思われていたのです。

ですが、そのような場合でも、エネルギーは、力学的エネルギーではなく、「熱エネルギー」という別の形のエネルギーとして移動していることがわかりました。

熱エネルギーの移動を加味すると、全てのエネルギーは保存しており、エネルギーの合計は運動量と同じように一定であるということが明らかになりました。

それが次の「熱力学第一法則」です。

熱力学第一法則

系の内部エネルギーUの変化△Uは、系がされた仕事W_{された}と系が吸収した熱エネルギーQ_{吸収}の和に等しい。

△U=W_{された}+Q_{吸収}

系がした仕事W_{した}=-W_{された}で書くと、

△U=-W_{した}+Q_{吸収}

このような表記の場合もあるので注意する。「した」「された」と書かれておらずWとのみ表記されている場合もある。

 

この法則により、永久機関は存在しないということがわかります。

なぜなら、系のエネルギー変化は、上の式で示されている通り。外界との仕事のやり取りや熱エネルギーのやりとりだからです。

特に、系のエネルギーが増えるとき、それは外からエネルギーをもらってきているからに過ぎないのです。無からエネルギーが生み出されるわけではないのです。