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【一次近似】物理で登場する近似のまとめ

物理ではよく近似が登場します

そこで、物理で使い近似をまとめました

 

近似式の使い方

まず、使う近似を{x}\lt\lt{1}の形にする

 例えばθが微小角なら、そのまま{θ}\lt\lt{1}

 例えばpにくらべてqが非常に大きい場合、\frac{p}{q}\lt\lt{1}

ここでxは無次元量となる

この形になったら、以下の公式が使える

(1+x)^a≈1+ax

 →特に\sqrt{1+x}=(1+x)^{\frac{1}{2}}≈1+\frac{1}{2}x

               \frac{1}{1+x}=(1+x)^{-1}≈1-x

sinx≈x≈tanx

cosx≈1

これらは、xの一次の項までみた式なので、一次近似という

証明(?)

微分の定義を用いる。

つまり、関数f(p)に対し、pがp+xに微小変化したときのfの微小変化dfは、

df≈f'(p)dp=f'(p)x

と一次近似できることを用いる。

 

f(p)=p^af'(p)=ap^{a-1})を考え、pが1から1+xに微小変化した場合に適用して

 (1+x)^a-1^a=df≈f'(1)x=a1^{a-1}x=ax

故に(1+x)^a≈1+ax

 

f(p)=sinp(f'(p)=cosp)と取るとp=0からp=xへの微小変化は

sinx-sin0=df≈f'(0)x=xcos0=x

故にsinx≈x

 

f(p)=tanp(f'(p)=\frac{1}{cos^2p})も同様にしてp=0からp=xへの微小変化は

tanx-tan0=df≈f'(0)x=x\frac{1}{cos^20}=x

tanx≈x

 

またf(p)=cosp(f'(p)=-sinp)と取るとp=0からp=xへの微小変化は

cosx-cos0=df≈f'(0)x=-xsin0=0

故にcosx≈1

以上の証明は、実は証明というより、思い出し方です

というのも、本当は「一次近似がこうなるから微分もこういうふうになる」という順番なので、順序が逆なのです

ですが、一次近似と微分の理解を深めるためにあえて紹介しました。

 

ちなみに、二次以上の項をみてみると、例えば

ニュートンの一般化された二項定理より、

(1+x)^a=\displaystyle \sum_{k=0}^{∞}\begin{pmatrix} a\\ k \end{pmatrix} x^k=1+ax+\frac{a(a-1)}{2}x^2+...

となる

三角関数マクローリン展開より

sinx=\displaystyle \sum_{n=0}^{∞}\frac{(-1)^n}{(2n+1)!}x^{2n+1}=x-\frac{1}{6}x^3+...

cosx=\displaystyle \sum_{n=0}^{∞}\frac{(-1)^n}{(2n)!}x^{2n}=1-\frac{1}{2}x^2+...

tanx=x+\frac{1}{3}x^3+\frac{2}{15}x^5...

となる

一次近似をしっかり解説している参考書として漆原先生の『物理解法研究』があります

この参考書ははっきり言って私が最もお勧めできる高校物理の参考書です

何か一冊だけ選びなさいと言われれば間違いなくこれを選びます