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円運動の公式まとめと導出【向心運動方程式】【接線運動方程式】【力学】

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円運動についての公式をまとめ、公式の証明をするページです。

円運動は、等速円運動である場合とそうでない場合があります

まず、公式のまとめです

物体の質量m、半径R、角速度\omega(t)、接線方向速度v(t)、接戦方向の加速度a_t(t)、接線方向の力F_t(t)、向心方向の加速度a_c(t)、向心方向の力F_c(t)とする(接線方向の正の向きは角速度と速度と加速度で全て統一する)

 v(t)=R\omega(t)

 F_c(t)=ma_c(t)=m\frac{v(t)^2}{R}=mR\omega(t)^2(向心運動方程式

 F_t(t)=ma_t(t)=m\frac{dv(t)}{dt}=mR\frac{d\omega(t)}{dt}(接線運動方程式

等速円運動の時に限り

  v(t)=vで時間によらず一定であり、したがって

 \omega(t)=\omegaで角速度も一定。この時周期Tが定義でき、

 T=\frac{2\pi}{\omega}

以下、証明です

前半部分は等速円運動であろうがそうでなかろうが成り立つが、後半部分は等速円運動の場合にのみ成り立つので、2パートに分けて示します

等速円運動に限らない公式の証明

半径Rの円運動の円の中心に原点をとって、xy座標(デカルト座標)をとると、円運動する物体の座標(位置ベクトル)は、

\vec{x(t)}=(Rcos(θ(t)),Rsin(θ(t)))

と表せる。

f:id:vasewell:20210212181222p:plain

ここで、θ(t)は時間の関数で角度を表す。角度を反時計回りにはかることに注意

角速度は

\omega(t)=\frac{dθ(t)}{dt}=θ'(t)

と定義される。すると、速度は、位置を時間で微分して

\vec{v(t)}\\=\frac{d\vec{x(t)}}{dt}\\=\frac{d}{dt}(Rcos(θ(t)),Rsin(θ(t)))\\=(-Rθ'(t)sinθ(t),Rθ'(t)cos(θ(t)))\\=(-R\omega(t)sinθ(t),R\omega(t)cos(θ(t)))となる

f:id:vasewell:20210212181229p:plain

故に接線方向を反時計回りにはかると

v(t)=R\omega(t)......①

ゆえにv'(t)=R\omega'(t)......②

さらに、加速度は速度を微分して、

\vec{a(t)}\\=\frac{d\vec{v(t)}}{dt}\\=\frac{d}{dt}(-R\omega(t)sinθ(t),R\omega(t)cos(θ(t)))\\=(-R\omega'(t)sinθ(t),R\omega'(t)cos(θ(t)))+(-R\omega(t)^2cosθ(t),-R\omega(t)^2sin(θ(t)))\\=\frac{\omega'(t)}{\omega(t)}\vec{v(t)}-\omega(t)^2\vec{x(t)}

最後の行のベクトル表示より第一項が接線方向、第二項が中心方向を表すことがわかるが、それぞれ最後から二番目の行の第一項、第二項に対応しているので、

a_t(t)=R\omega'(t)\\=v'(t)    (∵②)

a_c(t)=R\omega(t)^2\\=\frac{v(t)^2}{R}(∵①) 

ここで、接線方向は反時計回りで、\vec{x(t)}は中心方向と逆向きであることに注意する。

f:id:vasewell:20210212182047p:plain
故に、運動方程式

\vec{F(t)}=m\vec{a(t)}

より、

 F_c(t)=ma_c(t)=m\frac{v(t)^2}{R}=mR\omega(t)^2

 F_t(t)=ma_t(t)=m\frac{dv(t)}{dt}=mR\frac{d\omega(t)}{dt}

がいえる。

 

等速円運動の場合の公式の証明

 v(t)=vで時間によらず一定であり、したがって①より

 \omega(t)=\omegaで角速度も一定。ゆえにθ(t)はθ(t)={\omega}t+θ_0θ_0は定数)という一次関数になる。ゆえに、

\vec{x(t)}=(Rcos(θ(t)),Rsin(θ(t)))=(Rcos({\omega}t+θ_0),Rsin({\omega}t+θ_0))

の周期は、 位相が2πまわる時間だから 

{\omega}T=2\pi

 T=\frac{2\pi}{\omega}