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重心運動方程式とその導出【力学】

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重心運動方程式とは、系の総質量が重心に集まって重心を質点のようにみなしたときの重心の運動方程式のことです

n個の物体の系の質量の合計をM、系の重心の速度ベクトルを\vec{x_G}、系の外力の合計を\vec{F_外}とすると、系の運動量の合計Pは

\vec{P}=M\vec{v_G}

であり、重心運動方程式

\vec{F_外}=\frac{d\vec{P}}{dt}=M\frac{d\vec{v_G}}{dt}

が成り立つ

以下、証明です

まず、系の物体の番号をj=1,2,...nとし、それぞれの質量、位置、速度、運動量、受ける外力をm_j,\vec{x_j},\vec{v_j},\vec{p_j},\vec{F_k}とおく

また、jからkへの内力を\vec{F_{jk}}とする

重心の位置ベクトルをx_Gとする

系の運動量の合計は、確かに

\vec{P}=\displaystyle \sum_{j=1}^{n}\vec{p_j}=\displaystyle \sum_{j=1}^{n}m_j\vec{v_j}=\dfrac{d\displaystyle \sum_{j=1}^{n}m_j\vec{x_j}}{dt}=\dfrac{dM\vec{x_G}}{dt}=M\vec{v_G}

となる 

また、物体jの運動方程式

\vec{F_j}+\displaystyle \sum_{k=1}{n}F_{kj}=\frac{d\vec{p_j}}{dt}

これを、j=1,2,...nについて和を取ると、

\displaystyle \sum_{j=1}^{n}(\vec{F_j}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\vec{F_{kj}})=\displaystyle \sum_{j=1}^{n}\frac{d\vec{p_j}}{dt}=\frac{d\vec{P}}{dt}=M\frac{d\vec{v_G}}{dt}

左辺は

\vec{F_外}+\displaystyle \sum_{j=1}^{n}\sum_{k=1}^{n}\vec{F_{kj}}

だが第二項は作用反作用の法則で消える*1ので、結局

\vec{F_外}=\frac{d\vec{P}}{dt}=M\frac{d\vec{v_G}}{dt}