相対運動エネルギーと重心運動エネルギーとは?【運動エネルギーを分解する】【力学】
いくつかの物体の系を考えます
系の全運動エネルギーを重心運動エネルギーと相対運動エネルギーに分ける(①)ことができるということと、系の内力の仕事と外力の仕事がこの二つのエネルギーにどう影響するか(③、④)について説明します
公式
系の全運動エネルギーを、重心系から見た全運動エネルギーを(相対運動エネルギー)、重心に全質量が集まったと見て、系全体を一つの質点と見たとき(重心質点と仮に呼ぶ)の運動エネルギーを(重心運動エネルギーとする。このとき
...①
ゆえにΔを時刻から時刻までの変化量とするとき
...②
右辺は、時刻から時刻までの内力の仕事の合計、重心系における外力の仕事、外力が重心質点にする仕事を用いて
...③
...④
図示すると以下のようになります
証明
n個の物体の系(集合)の名前をAとし、物体の名前をj=1,2,3,...nとする
それぞれの質量を
jの位置ベクトルを 速度ベクトルを、重心系からみた速度ベクトルを 運動エネルギーを、重心系から見た運動エネルギーをとし、
重心の位置ベクトルを 速度ベクトルを
合計質量をとする
また、それぞれのベクトルの大きさは矢印を付けずに表すものとする
まず①を示す
最後の辺の第三項のは重心系から見た全運動量であるが、それは常に0なので、結局
ゆえに
でもある
次に③、④を示す
物体jに働く外力を、全外力の和を、物体jからkに働く内力をとおく
まず④は、重心運動方程式
に基づき重心を一つの質点(重心質点)としてみることができ、そのエネルギーと仕事の関係より
である
次に③を示す
まず、重心系における内力の仕事の合計を、重心の加速による重心系での慣性力のする仕事をとすると、重心系におけるエネルギーと仕事の関係から
だが、内力の仕事の合計は座標系の速度によらないので、は重心系における内力の仕事の合計と等しい ゆえに
である
あとは、
がゼロであることを示せば良い
物体jがうける慣性力は、重心の加速度を用いて
だから、仕事率を積分して、
は重心系の運動量の和なので0である。ゆえに
ゆえに
ちなみに、二体問題の場合は
となります
参考記事↓